ハリスツイード、カシミヤ、タータンチェック、フェアアイル、アーガイル、ペイズリー。。。トレンド・キーワードに上がってくるスコットランド発テキスタイルは数多い。スコットランドの伝統とクラフトマンシップ、豊かな自然から生まれる上質な素材、そして高い品質へのあくなき情熱とプライドが、世界中で長く愛されるスコットランド発テキスタイルの色褪せない魅力を輝かせ続けている。
Photos: VisitScotland
“羊を飼える土地と美しい自然が生む水に恵まれたスコットランドは、古くからウールを中心とした繊維産業が栄えてきた。産業革命を契機にした石炭産業で先進国となった故の人件費高騰により、高付加価値なテキスタイルを追い求めるスコットランド由来の“発明精神”(蒸気機関や電話、テレビ、タイヤ、ファックスなどを発明したのはすべてスコットランド人)と、量より質を追い求める伝統的なクラフツマンシップへの情熱が、カシミヤやハリスツイードなどの高級素材をこの地に誕生させた。
スコッチウィスキーを生む澄んだ軟水による染めや織り、国花であるアザミの実を使って表面を毛羽立てることで生まれる独特な風合いや発色を誇るボーダーズ地方のカシミヤ。ルイス島とハリス島の島民による丁寧な手仕事で厳格なクオリティを保ち、今年商標発行100周年を迎えた伝統のハリスツイード。発明好きなスコットランド気質が生んだ「プリングル」のアーガイル柄や「マッキントッシュ」のドライクロスのレインコート‥‥工場というよりも“工房”と呼ぶに相応しい小規模な企業が全体の20%以上を占めるスコットランドの繊維産業だが、その「巧」の精神は世界最高峰のレベルを誇っている。かつて“パリモードの下請け工場”と呼ばれたミラノが、アルマーニやヴェルサーチの登場によって70年代後半から世界的なファッション発信地となったように、すでにクリストファー・ケインやジョナサン・サンダースを輩出したスコットランド発のブランドが、今後のファッション業界における重要なポジションを担っていくことに期待したい。(編集長 山室一幸)“
WWD Japan 2011年9月26日より抜粋
LIFESTYLE BRANDS / ライフスタイル ブランド
TARTAN / タータン
TWEED / ツイード
SCOTTISH CASHMERE / スコティッシュ・カシミヤ
ARGYLE / アーガイル
PAISLEY / ペイズリー柄
SANQUHAR KNITTING / サンカーニット
FAIRISLE / フェアアイル
TEXTILES INDUSTRY / 繊維産業