ペール・ブルー・ドット(青白い点/地球)海のめぐみ
海は、楽しみや喜びだけでなく、私たちに食糧や燃料、薬やミネラルを供給してくれます。しかし、この恵みは限りがあり、また壊れやすくもあります。
沿岸や海洋生態系の劣化は、地球規模のビジネスの資源だけでなく、地域社会の身体的、経済的また食糧の安全性も脅かします。
地球に負担をかけずに海洋と共存しながらより持続可能な方法で生活し、その恩恵にあずかるにはどうしたらよいのでしょうか?
ブルー・グロース(海洋経済)
ブルー・グロース(またはブルー・エコノミー)とは、健全な海洋生態系は、生産性を高め、持続可能な海洋経済に不可欠であるという考かんがえ方かたです。
沿岸および海洋の生態系の持続可能な管理、保全また回復など、海洋や“ブルー(海の)”資源を大切にすることは、海の中に住む生き物だけでなく、共に生いきる人間にとっても重要です。
水中の森
昆布は、世界中の海の浅いところにある「水中の森」で育つ大きな茶色の海藻です。 スコットランドの海岸周辺でよく見られる昆布の生息地は、スコットランド周辺に17か所ほどあり、海洋保護区によって守られています。
付着できる岩盤や大きくて安定した岩がある場所さえあれば、昆布の密集した森が発達します。昆布は波や潮流による強い水流のもとで最もよく成長し、澄んだ水のある水深30メートル以上でも成長します。
昆布の森の多くは、海洋動物に食糧を供給し、また避難場所となっており、大切な食物連鎖を支え、沿岸域の栄養素のリサイクルにも大きな役割を果たしています。昆布の森は、波のエネルギーを一部吸収し、嵐から海岸を守る働きもしていると考えられています。
海底の食糧庫
海は常に私たちに食糧を供給してきましたが、私たちはいくつかの種を絶滅まで捕獲し、生き物の生息地を破壊して間接的に死に追いやっています。 海からより持続可能な方法で食糧を得るにはどうすればよいのでしょうか?
多くの魚種が海の温暖化に対応して北極と南極に向かって移動し、漁業を混乱させています。最近の研究では、気候変動により何百種もの海洋魚が北に押し寄せ、特にアラスカメヌケ、大西洋ダラ、ブラック・シーバスに頼りきっている北米の漁業に打撃を与えると予測されています。
海からお店へ
海からの資源には、驚くほど様々な使い道があります。昆布は天然の持続可能な資源であり、1日あたり最大60センチも成長し、歯みがき粉、シャンプー、サラダ・ドレッシング、プリン、ケーキ、乳製品、冷凍食品、さらには医薬品など、多くの製品の製造に使われます。研究者たちは、さらに再生さいせい可能エネルギー生成せいせいの将来の使い道の可能性を探し求めています。昆布の収穫では、採集の規模、強さ、方法が、昆布の生息地に長期的なダメージを与えないよう確実に管理する必要があります。昆布が再び成長し繰り返し収穫できるように採集することで、海の恵みを使い続けることができるようになるのです。
エネルギーの変化の波を起こす
低炭素(ローカーボン)の未来は、海の健康に不可欠であり、またラッキーなことに、海は私たちが低炭素化を達成するのを助けてくれます。海は、岩石の中の石油化学物質や熱から潮と波の再生可能エネルギーといった膨大な量のエネルギーを蓄えています。石油化学製品は有限であり、燃料として使用することは、気候危機を引き起こす主な原因となっています。しかし、波力と潮力エネルギーだけで、世界の約10%、英国の約20%の電力需要をまかなうことができます。スコットランドは、風力、波力、潮力エネルギー技術の開発における世界的リーダーであり、海洋由来の電力が、エネルギーミックスに確実にもりこまれる未来を築いています。